ハイブリットイベント開催事例|「ゲーム」を入口に孤独・孤立と向き合う。中野区フォーラムでリアル×メタバースで実施

ハイブリットイベント開催事例|「ゲーム」を入口に孤独・孤立と向き合う。中野区フォーラムでリアル×メタバースで実施

2026年2月21日(土)、中野区が主催する「中野区孤独・孤立フォーラム」において、リアル会場とメタバース会場を組み合わせたイベントが開催されました。

今回は、本取り組みを企画・運営した株式会社omnihealのご担当者様へハイブリッド開催の背景や工夫、実施を通じて見えた成果と課題についてお話を伺いました。

イベント概要

【イベント名】中野区孤独・孤立フォーラム
【日時】2026年2月21日(土)
【会場】中野区役所1階イベントスペース(ナカノバ/シェアノマ)+メタバース会場

「ゲームの可能性」をテーマに、孤独・孤立について考えるきっかけを創出することを目的に開催しました。

当日は、ゲーム芸人のフジタ氏や医師の石井洋介氏による基調講演・パネルトークに加え、ゲームの歴史年表展示、「ぷよぷよeスポーツ」体験会、支援窓口を紹介する「みんなの困りごとみちしるべ」など、多様なコンテンツを展開しています。

社会的に孤立し不安を感じている方や支援活動団体を対象に、リアルとオンライン双方から参加できる設計としました。

メタバース会場を併設した背景

今回の取り組みでは、対人関係に不安を持つ方にとって、デジタル空間やアバターが「最初の接点」や「居場所」として機能する可能性を検証したいと考えました。

匿名で参加でき、アバターを通じて全国どこからでもアクセスできる環境を用意することで、外出が難しい方や対面コミュニケーションに心理的ハードルを感じる方とも接点を持つことができます。

リアル会場だけではリーチできない潜在的な要支援者に対して、新たな参加の入り口をつくることを目的に、メタバース会場を併設しています。

参加者数と属性

リアル会場

基調講演には約100名が来場しました。
事前予約者の多くは40〜50代が中心で、想定していたメインターゲット層にしっかりとリーチできています。

一方で、当日参加者には60代以上の来場も多く見られ、孤立リスクが高いとされる中高年層へのアウトリーチにもつながりました。

メタバース会場

メタバース会場には、のべ21名(最大同時接続18名)が参加しました。
年代別では40代を中心に、30代・20代と幅広い層が参加しており、リアル会場と同様にターゲット層へのリーチが実現しています。

オンラインでも40〜50代を中心とした参加が得られており、リアルと同様の層にアプローチできている点は大きな成果です。

メタバース空間での取り組みと工夫

メタバース会場では、参加しやすさと安心感の両立を意識して設計しました。

1階をステージエリアとしてリアル会場の講演を配信し、参加者はアバターで入室しながら視聴できます。チャットやリアクション機能を通じて感想を共有できるようにし、オンラインでも一体感が生まれるよう工夫しました。

また、2階には「個別相談エリア(エリア別音声)」を設け、講演中は立ち入りを制限し、相談会の時間帯のみ開放しています。これにより、視聴と相談の導線を明確に分けました。

相談希望者については、1階で受付・整列し、順番に案内する運用としています。加えて、「他のアバターが誤って入室した場合は会話を中断する」といったルールを事前に共有することで、心理的な安心感にも配慮しました。

当日の様子

参加者の反応

イベント全体として高い満足度を得ることができました。

リアル会場のアンケートでは、約76%が「課題理解が深まった」、約93%が「新たな知識や気づきを得られた」と回答しており、全体満足度も約9割と非常に高い評価となっています。

メタバース会場でも、チャットやリアクションを通じた活発な参加が見られました。講演コンテンツへの関心をきっかけに参加しているケースが多く、オンラインならではの気軽さが参加ハードルの低減につながっていると感じています。

ハイブリッド開催の意義

今回のハイブリッド開催により、物理的な制約を超えて多様な層へのアプローチが可能になりました。

特に、「相談窓口」を前面に出すのではなく、「ゲーム」という参加しやすいテーマを入口に設計したことで、メタバースと親和性の高い層も含め、自然な形で参加を促すことができました。

リアル・オンライン双方において、潜在的な要支援者との接点を持つことができた点は、大きな成果だと感じています。

見えてきた課題

メタバース内には個別相談エリアを設けていましたが、今回は実際の相談利用には至りませんでした。

一方で、現地には来られない方がオンライン上には参加できたという点は大きな成果です。まずは「安心して居られる場」を提供できたこと自体に意義があったと捉えています。

今後は、このような場から自然に相談へとつなげていく導線設計や、リアル会場との連携の強化が課題になると考えています。

今後の展望

今回の取り組みを通じて、メタバースは単なるイベント会場ではなく、「居場所」として機能する可能性を感じました。

今後は単発のイベントで終わらせるのではなく、継続的に集まれる場を用意し、まずは緩やかなつながりをつくっていくことが重要だと考えています。

そのつながりをベースに、段階的に相談や支援へと結びつけていくような設計が、今後の孤独・孤立対策において有効なアプローチになると考えています。

まとめ

中野区孤独・孤立フォーラムでは、リアル会場とメタバース会場を組み合わせることで、これまで接点を持ちづらかった層へのアプローチを実現しました。

「ゲーム」という参加しやすい入口を設けることで、まずは安心して参加できる場を提供し、その先の支援へとつなげていく。今回の取り組みは、行政における新たな手法として、メタバース活用の可能性を示す事例となりました。

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